大判例

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東京地方裁判所 昭和25年(ワ)1301号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実〕原告は被告富加須の運転する自動車に追突せられ腰部に打撲傷を負うた。原告は同被告に対し不法行為を理由として損害賠償の請求をすると共に被告塩坂に対し民法第七百十五条に基き同条に所謂使用者として損害賠償の請求をした。

被告塩坂は、被告富加須は訴外塩坂興業株式会社の雇人であり、本件自動車も同会社の所有に属し、被告塩坂は被告富加須の使用者ではないから被告塩坂に民法第七百十五条に所謂使用者責任はないと抗争した。

〔判斷〕原告勝訴。判決は被告富加須が訴外会社の被雇者で被告塩坂の使用人でないと認めたが、被告塩坂が右訴外会社の社長として屡々被告富加須の運転する自動車を私用のため使用してをつた事実、本件事故も被告塩坂の妻が私用のため乗用してをつた時におこつた事実等を認定し、民法第七百十五条の使用者責任の成立には必ずしも同条に所謂使用者と不法行為者との間に雇傭関係の存在することは必要でないと説明している。曰く「……によると、被告富加須は右塩坂興業株式会社の被傭者であり、同会社から俸給の支払をうけていることが認められるが、同時に同人の自動車運転手としての仕事は被告塩坂の送迎が主要なものであつたことが認められる。しかしてこの事実を、……綜合し更に弁論の全趣旨から考えると被告塩坂は前記会社の社長としてのみならず、その私用のためにも被告富加須の運転する自動車を屡々使用してをつたことをうかがうことができる。然り而して、民法第七百十五条に所謂「事業」とは必ずしも営利的事業のみを指すものに非ず、苛くも自己の事実上支配下にある他人をして継続的に或事務をなさしめる場合のすべてを包含するものであつて、使用者と被用者との間には指揮監督の関係が存すれば足り、その間に必ずしも雇傭関係の存在は必要としないものと解すべきところ、本件についてこれを見るに、被告富加須が被告塩坂の私用のため乗用車を運転する限り、その運転に際し他人に加えた損害は両者間の雇傭関係の有無に拘らず被告塩坂においてこれを負担しなければならない。本件事故の際も被告富加須が被告塩坂の妻を銀座へ送る途中であつたことは当事者間に争がないところであるから被告塩坂は右事故による民法第七百十五条に所謂使用者としてその責任を免かれることはできないものといわねばならない。」

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